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BattleTech #1 「バトルテック」

更新日:2022年8月3日

31世紀、星間連盟崩壊後の銀河には主に5つの星間国家が存在した。


星間連盟の正統な継承国を自称するダヴィオン家による王国である恒星連邦

中華系のリャオ家が率いる社会主義国家であるカペラ大連邦

日系のクリタ家が中世日本を銀河に再現しようとするドラコ連合

シュタイナー家主導の経済協定に参加する商業国のライラ共和国

マーリック家を総帥とする諸勢力の集まりである自由世界同盟


五大国は地球を中心とする中心領域で、時には互いに争い、時には協力していた。

30世紀、そうした政治的な駆け引きに嫌気がさしたのか、ドラコ連合の下級貴族であったロミリウス家は辺境のオーリガン領域へ旅立った。

一族を率いてオーリガン領域の惑星の一つを開拓したビリウス・ロミリウスは、入植者たちの信頼を獲得し、新たな開拓地でも指導的な立場を築いた。ドラコ連合出身のロミリウス家はオーリガン領域でも貴族の地位を得たのである。


30世紀末にロミリウス家に生まれたロマーヌスは、家督を継ぐ者として文武に秀でるように辺境で受けられる最高の教育を受けた。勉学の面では地球の歴史や文化といった人文科学の分野に興味を示したロマーヌスは、軍事の面では著名な傭兵マスチフからバトルテックの手ほどきを受けた。

31世紀の戦闘の主役は巨大人型兵器バトルテックであり、その操縦法を知らなければ一人前の大人とは言えなかった。先祖から伝わるバトルテックのブラックジャックに乗った若きロマーヌスは、読書とマスチフによる教練の日々を通じて成長していった。


そんなロマーヌスの平穏な日常は16歳の誕生日に終わりを迎えた。

ドラコ連合からの追手がロミリウス家の家臣の中に潜り込み、皆が寝静まった夜中に屋敷を爆破したのである。ロマーヌスの両親を含むロミリウス一族は一夜の内に皆殺しにされた。ただ一人、街で友人たちと二次会を開いていた跡取りのロマーヌスを除いて……。


街のパブで深夜まで宴会を開いていたロマーヌスの酔いは爆発の轟音で覚まされた。屋敷に急行したロマーヌスが目にしたのは、赤々と炎上する家と一隻の宇宙船であった。

一族の最後の生き残りは考える前に行動した。ロマーヌスは倉庫に眠っているバトルテックに乗り込み、犯人を乗せて逃亡しようとしようとする宇宙船を破壊したのである。

こうして仇討ちには成功したロマーヌスであったが、彼に残されたのは一台のバトルテックと僅かな現金だけであった。彼には領地に残り一家を復興させるという選択肢もあったかもしれない。だが、ロマーヌスが生きていることが知れ渡れば、ドラコ連合からの追手が再来することは明白であった。ロマーヌスは死ななければならなかった。ロマニウスと改名した若者は、慣れ親しんだ故郷を離れ、新たな人生を始めた。


残された現金でオーリガン領域の中心的惑星コロメディアに飛んだロマニウスは、マスチフに倣ったバトルテックの操縦技能を活かして連合軍に志願した。

海賊退治で有能なメック戦士としての名声を馳せたロマニウスは昇進した。奇遇にもかつての師ラスチフと再会したロマニウス少尉は、実力とコネにより、オーリガン連合の近衛兵に選ばれた。


3022年、事故によりオーリガン連合の大卿タマティ・アラノ2世は帰らぬ人となった。故人の娘であるアメア・アラノ卿が大卿の地位を継ぐと目されていたが、前大卿の義理の義理の弟でアメアの叔父にあたるサンティアゴ・エスピノーザ卿は軍部を掌握しており、姪アメアの戴冠式でクーデタをおこした。

マスチフと共に近衛兵を率いてアメア・アラノを警護していたロマニウスは、エスピノーザ家が主導する軍部によるクーデタに直面した。正規軍に比して数が圧倒的に少ない近衛兵は次々と破られていき、アメア・アラノを守るのはついにロマニウスとマスチフのみとなってしまった。それでも二人は諦めず、アメア・アラノを亡命させるため必死に戦った。

マスチフとロマニウスの決死の抵抗によりアメア・アラノは脱出艇に乗ることができた。

しかし、脱出艇は地対空ミサイルの餌食となり破壊された。絶望の中でマスチフは戦死し、ロマニウスは重傷を負った。こうしてエスピノーザ家のクーデタは成功した。



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