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BattleTech #5 「内戦の始まり」

アラノ復権派とのウェルドリィでの合同作戦に参加したチェッカー傭兵団は、エスピノーザ家から政治犯たちを解放した。

かつての師マスチフを死体を確認したカメア・アラノが激昂する場面もあったが、ロマニウスは特別な感情を抱かなかった。

確かにマスチフもカメア・アラノも、ある時期のロマニウスにとって重要な人物であった。しかし、彼はオーリガン連合生まれではなく、アラノ家への忠義に生きる者でもなかった。ドラコ連合出身のロマニウスは、辺境領域に入植した貴族の生まれであり、アラノ家やオーリガン連合に特別の思い入れを抱いて居なかったのである。

彼にとってカメア・アラノやオーリガン連合への奉仕は、全てを失った後に従事した仕事以上の何物でもなかった。むしろ、彼は自分の命を救ってくれたチェッカー傭兵団にこそ帰属意識を感じていたのである。

 

ウェルドリィ解放はアラノ家復権派によるエスピノーザ家への実質的な宣戦布告となった。こうしてオーリガン連合で内乱がはじまったが、その中心にして象徴となるのはロマニウス率いるチェッカー傭兵団であった。

そんな彼らには巨大な宇宙船「アルゴー号」が貸し与えられ、復権派の歩兵や技師、参謀たちが加わることとなった。チェッカー傭兵団以外のメンバーが近くにいることは、ロマニウスを含めた団員には不評であったが、人手が増えることは正直有難かった。

特に、ロマニウスの幼馴染であった夢咲刻夜が仲間に加わったことは、ロマニウスにとって予想外の喜びとなった。


団員以外の参加やプロパガンダで称賛されることに居心地の悪さを感じながらも、ロマニウスは復権派のために惑星パンジル解放に向かった。


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