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Mass Effect 2 #1 「地獄の番犬」

更新日:2022年8月2日

船の失踪連絡が相次ぐアマダ星系に向かったノルマンディー号は、突如、謎の戦艦からの攻撃を受けた。圧倒的な火力を誇る敵艦の急襲に対応できなかったノルマンディー号は、大破し、シェパード艦長はクルーに脱出を命じた。

プレスリー副長は戦死したものの、アレンコ大尉の落ち着いた対応によりクルーの多くは脱出艇に逃げることができた。艦長として最後まで船に残る責務があると信じていたシェパード少佐は、船と共に沈む決意を固めていたジョーカーを説得して脱出艇に乗せることに成功した。そして自身も脱出しようとしたその刹那、敵艦の主砲がノルマンディー号に直撃し、シェパード少佐を乗せたまま連合の最新鋭艦は轟沈した。

薄れゆく意識の中でシェパード少佐は、「サレン事件」を思い出しながら、迫りつつあるリーパーの脅威を阻止することができなかったことを悔やんだ。


ノルマンディー号撃沈の2年後にあたる2185年、けたたましい警報音でシェパードは目を覚ました。体中が痛み、意識もぼんやりとする中、スピーカーを通じて女性が話しかけてきた。

「今は説明している時間はない。近くのロッカーにある武器と防具をとって自衛して。保安用メック・ロボットが攻めてくるわ!」

シェパードは状況を把握しようとコーデックス資料を確認したが、新たな情報はないようだ。部屋にある設備に見覚えはない。一体どれくらいの時間が経過したのだろう。様々な疑問を覚えながらも、今が緊急事態であることを把握したシェパードは、ピストルとN7アーマーを回収し、迫りくるロボットを撃退した。どうやら戦闘の勘は鈍っていないようだ。


慣れた手つきで機械の敵を破壊して施設を探索したシェパードは、ロボットと戦う一人の兵士を発見した。ジェイコブ・テイラーと名乗ったその男と協力してロボットを殲滅したシェパードは、現在の状況を尋ねた。すると、予想もしていなかった答えが返ってきた。

曰く、シェパードを乗せたノルマンディー号が沈んでから2年の月日が経過した。船の爆発や大気圏突入などにより、シェパードは“肉塊”と化した。だが、サーベラスの潤沢な資金と最新鋭の技術を駆使した「ラザロ計画」によりシェパードの蘇生に成功した。シェパードはまだ完全な状態でないが、メックの反乱に直面したため、覚醒させる他に選択肢がなかった、というのである。

「2年?死んだ?サーベラス?蘇生した?」

様々な疑問がシェパードの脳裏に浮かんできた。

「今の私はかつての私なのか。クローンなのか?」

「いいえ、サーベラスは元の少佐を必要としています。なので、クローンではありません」

真摯な態度で質問に答えるテイラーの話を聞きながら、現実を受け止められないシェパードは心の中でペダンティックに冷笑していた。

「私はまるで『テセウスの船』だな。しかし、地獄の番犬の名を冠する組織が、私を死なせなかったというのは皮肉だな。いや、それよりもハーデースの犬が、ラザロの名で人を蘇らせる方が皮肉か……。いずれにせよ、サーベラスの好きそうな冒涜行為だ」

神を信じるシェパードは、人の領分を越えた蘇生という行為に尊厳を傷つけられて不快な気持ちを覚えながらも、再び銀河のために戦える機会を提供してくれたことに正直のことろ感謝も感じていた。カホク提督を惨殺するなど様々な悪行で知られるサーベラスには嫌悪感しか覚えていなかったシェパードであったが、今は彼らと敵対しない方が好都合だと判断し、テイラーに道案内を頼んだ。


脱出シャトルに辿り着いたシェパードは、先ほどスピーカー越しに話しかけてきた女性と出会った。ミランダ・ローソンと名乗った彼女は、「ラザロ計画」の責任者であり、サーベラス代表イルーシヴマンの代理人であった。既にメックをハックした犯人を処分していたミランダは、イルーシヴマンのもとへシェパードを案内した。


ホログラム通信でイルーシヴマンと会話したシェパードは、サーベラスの目的を尋ねたが、この質問に対する答えは明白であった。人類至上主義団体であるサーベラスが人類を守るのは当然であり、リーパーの脅威から人類を救えるのはシェパードしかいない。これまでリーパーを倒したのは、シェパードしかいないからだ。それに加え、シェパードは人類の英雄であり、シンボルでもある。そんな人物を配下に抱えることは、艦隊を建造するよりも価値があるといっても過言ではない。シタデルの戦いで受けた打撃から立ち直れていない連合艦隊は、官僚主義のためにリーパーの脅威に立ち向かう力がない。今、人類を守れるのはサーベラスしかいない、というのである。

連合軍人としての矜持があるシェパードは、サーベラスという過激派組織の一員となることには否定的であったが、リーパーの脅威と戦うにはサーベラスと協力する他に道がないことを理解し、共闘することに同意した。


イルーシヴマンは手始めに辺境の入植地フリーダム・プログレスの調査を命じた。シェパードが昏睡状態に陥っていた2年の間に人類の辺境コロニーが次々と襲われ、数十万人もの人間が失踪している。リーパーが事件の背後にいることは疑う余地がないが、連合には調査する力はない。そこでサーベラスが独自に事件の真相を調べることとしたらしい。

テイラーとローソンを率いてフリーダム・プログレスに向かったシェパードが目にしたのは、不気味なほどに静まり返った入植地であった。戦闘の痕跡もなく、先ほどまで人々が生活していた空気が残っているこの植民地で何が起こったのだろう。調査を進める中で、シェパードクォリアンの一団と遭遇した。「クォリアンのスカベンジャーめ」と心の中で嫌悪感を示したシェパードクォリアンの一団の中にタリを見つけ出すと、その不快感は一層増した。

シェパードじゃないの!なぜあなたがサーベラスと一緒にいるの!?」

人類のコロニーの残骸をあさる卑劣なクォリアンが口を開いた。自分たちの悪行から注意を逸らそうとする意図が読み取れるタリの発言に対し、シェパード少佐は適当な返事をして、彼女らを追及しようとした。

「なぜお前が人類のコロニーにいるんだ?もしや、2年たってもまだ成人の儀が終わっていないのか?」

「これには理由があるの!ここで働いていた私たちの仲間のヴィトールを助けに来たの!」

フリーダム・プログレスに生存者がいることを知ったシェパード少佐は、クォリアンどもより先に彼を確保するためにタリをあしらい、ヴィトールを探しに行った。だが、クォリアンシェパードの真意を察したらしく、ヴィトールのもとへ急行した。

素人らしく十分な警戒もせずにヴィトールのもとへ突っ込んだクォリアンたちは、ハッキングされたロボットに蜂の巣にされ、全滅状態に陥った。一方で人類の英雄シェパード率いるプロ集団は冷静にロボットを排除し、タリよりも先にヴィトールを確保することができた。


ヴィトールサーベラス基地に連行したシェパードは、人類のコロニーを襲っている犯人が昆虫型機械生命体コレクターであることを突き止めた。ゲスと同様にシタデル宙域外に住む機械生命体であるコレクターは、高度な技術で知られ、シーカーという小型機械を用いて人々を気絶させ、拉致を繰り返しているらしい。コレクターとリーパーとの関係は不明だが、とりあえずのところ対処しなければならない敵が判明した。

シェパードに新型艦を預けたイルーシヴマンは、銀河中から優秀な仲間を集めてコレクターを倒すように命じた。

イルーシヴマンに任された新型艦を見たシェパードは驚愕を隠せなかった。なぜなら、その船はノルマンディー号そっくりだったからである。さらに、操縦士としてジョーカー、軍医としてチャクワス先生が搭乗していた。信頼のおける仲間と共にSR2ノルマンディー二号機に乗ったシェパードは、シーカーに対処できる科学者のモーディン・ソーラス教授と銀河一の傭兵ザイード・マッサーニ、精鋭部隊の傭兵「アークエンジェル」を仲間に加えるため、犯罪者の巣窟となっている宇宙基地オメガに向かった。


オメガへの航行中に昔の仲間と思い出話に花を咲かせつつ新たなクルーと知り合いあったシェパードは、一号機よりも広い二号機の快適性と性能の高さに感服していた。


オメガに到着したシェパードは早速ザイードと出会った。既にサーベラスから契約金を支払われていたザイードは、すぐにシェパードの仲間に加わってくれた。

情報収集のためオメガを支配する女犯罪者アリアに会おうとしたシェパードは、クラブ「アフターライフ」に赴いたが、彼は二年間飲んでいなかった酒の誘惑にあらがうことができなかった。十杯以上のショットを決めた後、はしご酒をしたシェパードは、人類を憎むバタリアンのバーテンダーに毒を盛られた。だが、サーベラスにより強化された肝臓を手に入れていたシェパードに毒は通用せず、かえってバーテンダーに毒を飲ませて勝利の美酒を味わった。

調子づいたシェパードはダンスフロアで踊り、酒を飲んで楽しい時間を過ごした。だが、流石に呆れたテイラーとローソンが任務続行を促すと、シェパードはすぐに気持ちを入れ替え、アリアから情報を入手した。また、オメガの売店で装備を整えたシェパードは、まずはソーラス教授を探すこととした。


ここ数週間の間にオメガの一部地域では謎の疫病が蔓延しているらしい。空気感染する危険な疫病を封じ込めるため感染拡大地域は封鎖されたが、ソーラス教授はそこに診療所を開設し、感染者の治療とワクチン開発に従事している。元サラリアン特殊部隊員にして、生物兵器の宇宙的権威であるソーラス教授が、なぜ、辺境の犯罪者の巣窟で医療活動に従事しているのだろうか。また、この疫病は人間には感染しないという。

数々の疑問を抱きながら封鎖地域に入ったシェパードは、犯罪者を倒しながらソーラス教授のクリニックにたどり着いた。人類の辺境のコロニーがコレクターに襲撃されているとソーラス教授に伝えると、彼は明晰な頭脳で疫病拡散の背後にもコレクターがいることを推論した。すでに疫病の治療薬を完成させていたソーラス教授は、この仕事が終わったらシェパードに協力することを約束し、薬の散布の手伝いを依頼してきた。



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