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Mass Effect 2 #3 「帰還」

仲間を集めてオメガを旅立ったシェパード少佐は、かつての上官であるアンダーソン提督とウディナ評議員に挨拶をするのが礼儀であると考え、銀河の首都シタデルへ向かった。


昏睡状態であった2年の間にシタデルも変わっていた。銀河ニュースで現在の世界情勢を学んだシェパードは、自身に関する記録を「死亡」から「生存」に変えることで、名実ともに銀河社会への復帰を果たした。

書類上の手続くを終えたシェパード少佐は、挨拶のためにウディナ評議員のオフィスへ向かったが、そこで待っていたのは人類の代表ではなく、評議員の軍事顧問アンダーソン提督であった。提督に昇進していたかつての上司は評議員に許可を得ることなく評議会を招集し、シェパード復帰報告の場を用意していた。

サーベラスとの関係を問いただされる場面はあったものの、険悪な雰囲気ではなかった会合の中でシェパードはスペクターの地位を追認された。また、彼が連合軍属のままであることも確認された。「サレン事件」の時と同様に評議会は公式の支援を約束しなかったが、活動を事実上黙認することにより、シェパード少佐リーパー阻止を陰ながら助けることとなったのである。


評議会との会合を終えたシェパード少佐には、「サレン事件」の際に協力してくれた友人で上司でもあったアンダーソン提督と話すことが沢山あった。しかし、この度の評議会との会合でシェパードの個人的な思いは打ち砕かれた。というのも、アンダーソン提督がウディナ評議員に無断で評議会を招集しただけでなく、嘘をついていたからである。

アンダーソン提督は評議会に「ウディナ評議員の承認の下」で会合を開いたと述べていたが、ウディナ大使はこのことを知らなかったのである。

「サレン事件」の際にも、ウディナ大使に暴力を振るって事件を打開しようとした過去のあるアンダーソンは、正義を求める人であることは間違いないであろう。だが、彼のやり方には問題がある。軍人であり評議員の軍事顧問という立場を忘れ、評議員の代理のように振る舞うのは単なる越権行為であるのみならず、シビリアンコントロールの原則にも反する潜在的な政治的脅威ではないか。軍人でありながらも、いや、軍人であるからこそ文官と武官の領分の弁別が重要であると思っていたシェパード少佐にとってアンダーソン提督の行動はとうてい受け入れられない行為であった。

サーベラスを違法なテロ組織と考えていたシェパード少佐は、この時連合の問題を実感し、サーベラス連合も五十歩百歩の存在であると思い、人類の愚かさを痛感した。シェパード少佐はこれまでアンダーソンを友人と思っていたが、自覚的であれ無自覚的であれ、彼が文民統制の原則を踏みにじるような暴挙に出たことを受け、かつての上司に対する見方を変えざるをえなかった。トルファンの惨劇とカイル大佐の事件で連合軍に対する猜疑心が生じていたシェパード少佐は、連合軍が人類にとってサーベラスと同様に潜在的な脅威となりうると確信した。そして、連合軍人として内側から連合軍の力をコントロールする必要があるとも感じた。

2年という時間は残酷であった。アンダーソン本人は変わっていないのであろうが、彼はもはや大佐ではなく提督である。自身の行動が政治的な意味合いを持ちうることを理解してしかるべきだが、彼にはその実感がないようである。自分が時代に取り残されるほど周囲が変化するのと、変わらなければならないものが変わらないことのどちらが悲しいのであろうか。

2年の間に変わっていないようにみえるアンダーソン提督と異なり、かつての副官であったケイダン・アレンコは何らかの秘密任務に従事しているという。彼は一体何をしているのだろうか。


様々な思いが去来するシェパード少佐は提督と評議員に別れを告げ、旅のための物資を購入しに市場へ向かった。途中で酒の飲みすぎで倒れるというハプニングがありながらも物資を購入したシェパード少佐は、シタデルを離れて再び辺境宙域に向かった。


ノルマンディー一号機の墜落地点に慰霊碑を置いたシェパード少佐は、辺境宙域でサーベラスの仕事を本格的に始めた。といっても非合法なテロに加担したのではなく、人道に反しない限りにおいてサーベラスに協力することとしたのである。イルーシヴマンシェパード少佐の正義感を理解しているようで、倫理的に難しい任務は依頼してこなかった。

その一つが傭兵集団に捕まったサーベラス諜報員の持っていたラクナイに関するデータの回収であった。ラクナイに関する情報を不用意に広げるわけにはいかず、データの回収は銀河の秩序維持に役立つと判断したシェパード少佐は惑星ロレックの傭兵基地を強襲し、データを取り戻した。なお、シェパード少佐はそのデータをイルーシヴマンに送ることはなく自分で保存し、誰にも悪用させないようにした。イルーシヴマンシェパード少佐の情報隠匿を知っていたかどうかは定かではないが、少なくとも彼がデータを返すように連絡してくることはなかった。


続いてシェパード少佐サーベラスが失敗した「オーバーロード計画」の尻ぬぐいをすることとなった。機械を融合することにより電脳化した人がゲスをコントロールしようとした「オーバーロード計画」は、電脳化した人が暴走したことにより取り返しのつかない惨事を引き起こそうとしていた。暴走した電脳が全銀河の機械技術を乗っ取る前に「オーバーロード計画」基地のあった惑星アイテのアンテナを破壊したシェパード少佐は、機械と融合した人の機能を停止するために基地へ侵入した。



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