部下が全滅した原因を探っていたカホク提督は何かを突き止めたらしく、ボイジャー・クラスターのヤンツー星系に向かった。事件の背後に謎の組織サーベラスがいると推測していたシェパード少佐は、カホク提督の身に危険が迫っているという嫌な予感がしていた。
カホク提督からの最終連絡を頼りにヤンツー星系に向かったシェパード少佐は、惑星ビントゥでサーベラスの基地を発見した。基地内にはラクナイが飼育されており、フェロスの事件の背後にもサーベラスがいたことを推察した少佐は、銀河で暗躍する謎の組織の影響力の大きさに背筋の凍る思いをした。恐る恐る基地探索を継続したシェパード少佐は、サーベラスによる人体実験の結果殺されたであろうカホク提督の遺体を見つけた。
連合軍提督を死に至らしめたサーベラスに仇討ちするため、シェパード少佐は基地で集めた情報をもとに近隣のサーベラス拠点の位置を突き止めた。ノルマンディー号でサーベラスの拠点がある惑星ネフェロンに向かったシェパード少佐は、敵の特殊部隊員を排除して、機密情報が保管されているであろうコンピュータを見つけ出した。データが削除される前に暗号化された情報を抜き出したシェパード少佐は、銀河で暗躍するサーベラスの闇を暴く手がかりを得られたことに満足し、カホク提督の死が無駄ではなかったと自分に言い聞かせた。
連合に情報を提出するために帰艦したシェパード少佐のもとに一通の連絡が届いた。接触を図ってきたのは銀河で最も有名な情報屋シャドウブレイカー、目的はサーベラスの機密情報であった。シャドウブレイカーを味方とすることでサレン逮捕の協力を仰ぐことができるという利点が頭をかすめたが、カホク提督が命をかけて見つけ出した情報を第三者に渡すべきではないという連合軍人としての矜持を優先したシェパード少佐は情報屋との取引には応じなかった。
また、サーベラスがラクナイを増殖させようとしていることを知ったシェパード少佐は、スティックス・シーで繁殖するラクナイの巣を破壊し、サーベラスの船を破壊することで、滅びたはずの危険な種族が本格的に蘇るのを阻止した。
連合軍人としての務めを優先するシェパード少佐は、ノルマンディー号から地球を見たいという願望を果たすため、太陽系に一時帰還することとした。銀河を救うために休暇もなく戦うノルマンディー号のクルーの士気を上げるためにも、人類の故郷へ帰ることは意義あることだと判断したためである。
エクソダス・クラスターのユートピア星系を経由したノルマンディー号は、サレン事件が始まった地エデン・プライムを通過することでサレン逮捕の決心を新たにした。続いてアスガード星系へ向かったノルマンディー号は、人類最大のコロニーであるテラ・ノヴァを見ることで人類が地球以外にも進出しているという事実を確認しようとした。
だが、テラ・ノヴァに近づいたノルマンディー号は異常を検知した。テラ・ノヴァは通信妨害を受けており、小惑星が落下軌道に入っていたのである。数時間後には確実にテラ・ノヴァに落ちるであろう小惑星の軌道を逸らすため、シェパード少佐はMAKOでその小惑星X57に着陸した。
X57の核融合推進機を停止するために基地に突入したシェパード少佐一行は、バタリアンのテロリストと交戦した。トルファンの亡霊と再び遭遇したシェパード少佐は、シタデル条約に反するバタリアンのテロリストを殲滅した。途中で捕虜となっていた民間人が犠牲になったが、4000万人以上が住むテラ・ノヴァを救う事とテロリストを逮捕する事が最優先課題であった。目標のためならば犠牲もいとわないという「トルファンの殺人鬼」の鉄槌が再びバタリアンに振りかざされたのである。だが、X57事件は「トルファンの惨劇」とは異なり、部隊から犠牲者を出さなかったばかりか、降伏する敵と交渉し、主犯バラクを逮捕して司法に処分を任せる事ができた。これが特殊部隊訓練の賜物か、それともシェパード自身の成長によるものかはわからないが、いずれにせよシェパード少佐が成熟していることは疑いようがなかった。
テラ・ノヴァへ落下する小惑星X57の軌道を逸らして、人類に恨みを抱くバタリアンの過激派を排除したシェパード少佐は、目的地である地球に向かった。しかし、人類の故郷でもシェパードは安らぐことができなかった。月にある連合軍施設のAIが暴走したというのである。不良AIを排除して月の安全を確保したシェパード少佐らノルマンディー号のクルーは、美しい地球を一瞥し、銀河を守るための任務に戻った。ウィリアムス軍曹やプレスリー航海士ら人類至上主義的な傾向のある乗組員を満足させたに相違ない太陽系への一時帰還は、人類の偉大さを再確認すると同時に人類が広大な銀河の一員であることも認識させ、排他主義が誤っていることも示せたのではないか、とシェパード少佐は期待していた。
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